ポリオ「急性灰白髄炎」は、ポリオウィルスによる感染症で、四肢の非対称性の弛緩性麻痺が生ずるのを典型的な症状として、小児に多発するので「小児麻痺」と呼ばれている疾患です。しかし、感染者の殆どは不顕性に終わり、麻痺型のポリオを発症するのはわずか
1?2%に過ぎません。現在ポリオの特異的な治療法はないので、ポリオワクチンによる予防法が必須となります。その予防法には、経口ワクチン(OPV)、不活性ワクチン(IPV)、混合ワクチン(MPV)の3通りがあり、主にOPVかIPVか、いずれのワクチン接種が行われているのが現状です。ところが世界の先進国の中で未だにOPV接種がおこなわれているのは日本だけで、ご承知のようにOPVはポリオウイルスの病原性を弱めてつくられたものなので、極く稀にOPV接種を受けた人にポリオを発症することがあります。ですからポリオの感染の心配がないIPVの接種を受ける方がより安全なわけです。最近多くの子どもの親からの要望によって、国は2013年春頃にOPVに変えてIPVの導入を行う予定としていますが、問題は、OPVからIPVに変更するまでの期間にポリオワクチンの接種をしない人にポリオ感染の恐れがあることです。我が国では、1981年以降OPVのおかげで野生株ポリオウィルスによるポリオの発症は報告されていません。つまり、日本では殆どの人がポリオに対する免疫をもっていますが、若しOPVによる集団接種を受けないでいますと、ポリオウィルスはポリオに対する免疫のない人に容易に感染し、ポリオが全国的に発症する懸念があるのです。先にも述べましたように、OPVによるポリオ発症の頻度は1?2%程度で、100万人に1.4人の割合ですので、IPV導入までの間はなるべくOPVの接種を受けていた方が安全と言えます。次回は、OPVとIPVとの相違と双方の利点及び不利な点について説明しましょう。
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鎌倉内科診療所
院長 正山 堯