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夏の厳しい暑さが和らいで
朝夕はずっと過ごしやすくなる頃。
周囲の小さな草むらからも
秋の気配を喜ぶ声が・・・。


収穫の秋を代表するものに
青い空に一番目立ち輝く、「柿」があります。

ある日、よく訪れる里山を歩いていた時のこと
あちこちの家の庭によく熟した色のたくさんの柿が
重そうに枝をたわませています。

その一帯には何箇所か、無人の農作物販売所があり
ちょうど目の前で農作業をしていた人に
近くに販売所はありませんかと尋ねたところ

「柿が欲しいのかね」
「ちょうど今採ってきたのがあるよ」

と言って、畦に置いてあった自転車のカゴから
ビニール袋を取り出しました。

「良かったらあげるよ。今年は豊作だ」

結局代金は取らず、名前も住所も明かさず
その人は農作業に戻って行きました。


その人の「善意」を簡単なスケッチにしました。
ポストカードにした柿の絵を持って
その後何度かその畑の前を歩いてみましたが
「農作業の人」にはそれきり会えないでいます。

でも、この里山の近くに行くたびに
そして何かの拍子でこの絵を見るたびに
あの時の「農作業の人」のことが思い出されて
暖かい気持ちになれます。