陸前高田市に入って10分ぐらい車で走ると、「ここまで津波がきたのね…!!」と思い知らされる傷跡が目に入ってきます。道路端に可愛いおうちの書いてある案内板があり、それに従って右に入っていくと地域のコミュニセンターの建物の横にちょこんと小さな赤いきれいなおうち!?よく見るとトレーラーハウスだと分かります。ウッドデッキが付いていて階段もスロープもあります。
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入り口には寄せ植えの鉢がおいてあり、中を覗くと「ワー!本がいっぱい」木製の本棚の本たちの顔はみんなピカピカひかっているようです。

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ここが陸前高田こども図書館「ちいさいおうち」です。
盛岡で35年にわたって子ども図書室が好きで(!)開いているNPO法人うれし野こども図書室の分館として11月25日に誕生しました。
とても居心地の良い、また来たい、という思いにとらわれる心休まる温かい場所に仕上がりました。

 この子ども図書館は被災地、陸前高田の子どもたちがしばしの間でも瓦礫という環境から遮断され、震災前の日常生活の感覚を取り戻し、安らぎのなかで心を開放し、本の世界を満喫してほしい、という願いを込めて作られたものです。


うれし野こども図書室の代表である私、高橋は陸前高田へは、この20年来、子どもと読書に関する講師として何度も招かれ、それが縁でうれし野の会員も増えたのでした。この大震災で高田は私の中で特別な場所となりました。

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確かに陸前高田の被害はひどいものです。でもひどいから、特別な場所になったのではなく、そこには、その風景を通して、その地に住む人々との思い出があり、そこへ行けばまたその人々に会え絆を深めることができたのです。それが今回の震災を受けて風景も人もなくなってしまった、そのような思いがあって高田は私にとっては素通りできぬ深いものに変わりました。

 震災から1か月後、仲間と避難所や児童センターを回って集まってくる子供たちに絵本の読み聞かせや昔話を語りました。本が足りないと聞けば、本も届けました。全国から山のように届いてくる本の仕分けもしました。
でも自分の中から何かが不自然、何か大切なことを忘れている、と私に言ってきます。
その疑問と答えは子供たちから感じ取ったものでした。
非常に基本的なことです。読書とは、心を開放して本の世界に入り、主人公と一緒になって別世界を楽しむもの、それには集中できる場所が必要です。
それには、図書館が必要です。子ども図書館なら、その規模なら作れると思いましたし、しなければならない事だという強い思いが湧き起ってきました。
あの時期、日本人のほとんどは、被災地に対し自分は何ができるのかを考えていたのではないでしょうか。私も考えました。被災地に必要とされていることで、自分に出来ることがあるのか。
それが、私の場合、子ども図書館作りであり、役目だと思いました。
後になってつくづく感じることになるのですが、その行動の底には今までの長年の経験があったからこそ尻込みせず真っ向から取り組めたのだと思います。

この図書館づくりの第一歩は4月初旬、陸前高田市教育委員会への協力、連携の申し込みから始まりました。
何故なら、これまでの私への依頼は教育委員会を通して図書館からのものでありましたし、図書館とは公共の建物であると考えているからです。
 次の仕事は、図書館を建てるための資金の調達です。うれし野こども図書室は無給で活動しているボランティア団体であり、お金はありません。
ネットから被災地支援をしている団体を探し2団体に申請しました。ジャパン・プラットフォームと東日本大震災復興支援財団です。両方の支援先から申請額の満額を頂戴できました。
6月には思いもがけず、公益財団法人東京子ども図書館から支援をして頂けることになりました。
「子どもと本」に関して全国には様々な活動団体がありますが、東京子ども図書館は私にとって指針となり信頼のおける活動の要となる所です。そこからの支援に心強くなると共に、一層の責任も増しました。東京子ども図書館は図書館運営のもっとも大切と言える二つのことをしっかりバックアップしてくださっています。それは、専任司書の派遣と基本図書の寄贈です。専任司書は大船渡に住み津波の被害にあった吉田佳織さんを推薦しました。彼女はうれし野こども図書室の会員でもあります。
 助成先への申請、トレーラーハウスの視察から発注、引き渡しまで。教育委員会との話し合い、建具担当の方との詰めなど等。やらなければならに事は多すぎました。時々、疲れすぎて一人で泣きました。
そんなとき、亡くなられた高田図書館の館長さんの鷹揚な笑顔、仕事にひたむきに取り組んでいた司書さん、いつも高田に行くと喜んで迎えてくださり応援してくれていたSさんが出てきて“高橋さん、そんなに頑張らないで”と言ってくれるのです。すると、不思議に頑張れるのです。
―高田の市立図書館は残された外壁が廃墟のままです、痛ましくてなりません。
そして、私にはうれし野の仲間がいてくれます。彼女たちと一緒にいると疲れも不安も吹っ切れて、また、前へと進めます。

 20畳の小さな図書館は、古典名作絵本「ちいさなおうち」(バージニア・リー・バートン作 岩波書店)から名前を頂きました。
11月25日の開館式にご招待した方々は、この「ちいさなおうち」の誕生を心から喜んでくれたのではないでしょうか。
助成してくださった支援先の皆さんがとても喜んでくださったのが、とても励みになりました。
まるで親に褒めてもらった感じです。

 開館してホッとする間もないまま、大事なことに気づきました。
当たり前の話ですが、開館したから終わりではなく、これからが始まりなのです。
運営・管理はうれし野の仕事。利用者を図書館にいて待っているのではなく、外に向かって色々な働きかけをしていかねばなりません。
地元の人々に受け入れられ愛されてこその図書館。盛岡は離れすぎていますが、距離で温度差をつけてはなりません。
専任司書の吉田さん、高田の仲間と力を合わせ、これからが本当のスタート、本番です!
「ちいさいおうち」は、子どもと本の世界の大切さを大事にしたいというたくさんの方の思いが集まっている幸せな場所です。

皆さまの温かい応援に感謝しつつ、どうぞお見守りください。

NPO法人うれし野こども図書室
代表  ?橋 美知子