自分でも、チマチマ小さなことでイライラしているのは分かっていた。
こんなことは流してしまい、ハハハ!!! と笑いとばしたい、と余裕な自分を理想とするのだけど、今回はナニが回復を遅らせているのか、こんなことで凹むのは自分でないと思いつつ、なかなか抜け出せなくなっていた。

さて、私は笑える本を読みたかった。
笑えればなんでもいい。
そこで思い出したのが高野秀行さん。
高野さんの文庫本を買うつもりで歩き始めたら、就職本の棚で『放っておいても明日は来る』を見つけてしまった。
ゆるいタイトルが気になる。

で、「はじめに」部分を立ち読みした。
この本は上智大学の「東南アジア文化論」の講義内容が書かれている。
東南アジアの文化について語られているのかと思いきや(講義中はそれもあったらしいが)、ゲストの型にはまらないぶっ飛んだ生き方に、学生たちが「癒された」という。

まえがきによると、今の学生は心配がエンドレスなのだという。
3年から就職活動を始め、内定したもののそれはいつ取り消されるかもしれないし、無事入社できてもリストラ、倒産と不安要素が多い。・・のだそうだ。

で、会社に入ってもチクチクくだらない嫌味を言われたりする・・・そうだね、疲労もエンドレスか、と荒んだ気持ちの私にこの文章が飛び込んできた。

『なのにこの講義に出るとどうだろう。ゲストたちはまるで口裏を合わせたように、
「明日のことなんか考えない」とか
「てきとうにやっててもなんとかなる」と堂々と言い放つ。』(P4 11〜13行めより抜粋)

マジメに怒っているのがバカバカしくなった。
暗い気持ちでいることもマジメすぎ?とアホらしくなった。
ナンで、売上げに直接繋がらない程度のどうでもいい嫌味を言われ、そんな程度のことに小さな胸を痛めているのか。
自分の小ささにこそ、ばかばかしさを感じてしまった。
あーー、アッホらしーー。

というわけで、即買い。

さて、野生のゾウは怒ると危険だそうで、ゾウの残したウンコを見れば怒っているかがわかるのだとか。怒りのサインがほかほかのウンコ表れたゾウにジャングルで追いかけられた話しとか、ジャンケンで勝って社長になったとか、あなたの本を出したいって高野さんのブログに書き込んで実現させちゃった話しとか、インドで一文無しになって、航空会社に「チケットどうにかしてくれ」って交渉に行って(当時はイーチケットがなかった)どうにかなっちゃた話しとか・・・。
ああ、人生これでいいんだ、どんなことがあっても、予定通りでなくても、理想通りでなくても! 楽しく生きていればそれでいいんだ、別にごリッパに人様に何かをお教えするとか、スバラシーことが出来る技をもつとか、目指さなくてもいい。目からウロコ10枚。

もう、自分のスケールの小ささが恥ずかしいって思ったし、小さなことにこだわって、潰れる必要はないとも思った。
笑いすぎて、筋肉が緩むのがわかった。
あまりに「次はいつくるか?(なにを言われるのか)」と構えているものだから、首も肩もガチガチになっていた。
ゲストたちの生き方(経験)を読んでいたら、体の中のなにかが、するっとほどける感覚がした。

怒ること、悩むこと、心配すること・・「もう、いいか〜」と。
マジメにカタく生きていくのが安全ではあるんだけど、自分の本質は本当のところ、こういうハチャメチャな人生の流れ(とゲストの皆さんは思っていないのだろうけど)やアバウトさのほうに共感する。こっちのほうが、好きだしこういう人間なんだと自覚する。(今ごろ〜?)
更に目からウロコ。計20枚。