昨日のイベントでは、いくつかの地域の物産を販売するコーナーがあった。
福島のブースには野菜を乾燥させた保存食やスープ等があり、それに関連してスタッフの方と話をした。
乾燥野菜やスープは、備蓄用に多く売れている商品とのこと。

福島の方々は、もう一度大きな地震が来るかもしれないという懸念をもっており、震災前は備蓄をしていなかった人でも備えをするようになったという。

話しは変わり、福島とは別の県の方に、私が住む地域では百貨店だけでなく自宅近くのスーパー、ホームセンターであっても防災コーナーがあると話をしたところ、大変驚かれた。
震災後は、防災用品の売り切れも当たり前のようにありました、というと、その点についても驚いていた。
神奈川からそれ程遠くない県でも、東日本大震災の“揺れ”のダメージがなかった場所とは、こうも防災意識が違うものかと、こちらも驚いた。
スタッフの方は、むしろ、意識しなさすぎる自分らのほうが危ないかもなあ、と言った。

また別の地域の担当者の一人は、東京から居を移した人で、地域の高齢の方々から興味のある話を聞いたという。
それは「昔、都があった場所というのは、それなりの理由があるもんだ」と。
その地域は他県に比べ地震などの災害が少ないのが特徴で、高齢者でも大きな災害の体験はほとんどないという。

ようは、関東から北は江戸時代以後栄えた場所であり、土地が開け人口が増えてまだ年月が浅い。
それ以前の、例えば平安時代などの「〜の都」といわれた場所は、災害が少ないのだという。
気象観測所のない時代だが、昔の人は“知って”いて、栄え続けることを目的とした、災害的視点でより安全な場所に都をおき、重要な建立物を造ったと。

複数の人から同じ事を聞いたそうで、その地域では共通の認識をもっているのか? 
都と災害を関連づける視点は面白いなと思う。
火山活動が活発化した今後のことは分からないけれど、災害を逃れてより安全な場所へ移動したい人にとっては、ひとつの目安になる話しではあると思う。(断層や地盤を、標高を調べると関連性が発見できるかも)

さて、目的の県が決まっているので、話しをすることのない自治体が多数だったが、ざっと会場をまわると各ブースには、自治体のPRマスコットや特産品(水やフルーツ、陶器や塗り物、民芸品など)がテーブルに置いてある。
アンケートに答えると、特産品をプレゼントという仕組みなのだ。
ウリになる美しい風景のポスターが貼ってある自治体もある。
たまたま私独自「の」条件があるだけで、他の地域も美しく素晴らしい。
どこを「ふるさと」にしてもステキだし、日本にはいい所が多いと思った。

居住の意思はないが、北陸3県は先日のニュースで、県民幸福度上位1〜3位を占めていると知ったので、女性が働く環境がどうなのか興味があり、気候や職業について話しを聞いてみた。
私が無知だったのは、北陸全てが雪に覆われ寒いわけでなく、多少雪は降るが気候が穏やかな場所はあるということ。
聞くことさえしないければ、何も知らず、誤解をしたままで終わっていた。
知れば、なら候補地にはいるか、それでもやめるか決めることが出来る。

私は神奈川出身で、神奈川から(旅行以外)出たことのない両親に育てられ、子供の頃から「ここ(神奈川)が一番いい」と言われてきた。
気候も買い物も環境も・・ということだったが、社会人になってからは、会社が全国に拠点をもち多くの地方出身者と接し、地方在住の同僚の話しを聞き、出張に出て自分の目で他県を見るようになると、どうも親の言うことが正しいとは思わなくなった。
神奈川を出たことがないので比較が出来ないのハズなのに、良いと言うなと。
確かに首都圏は便利だし、神奈川は気候も穏やかで住みやすいとは思う。
しかし、その条件が一番(他所を排除する)というのは違う。
価値観は、人によって違う。
例えば多少気候が厳しくとも、それが全てではなく、気候の厳しささえ意にもとめない人はいるだろう。
人の数だけ、ふるさと、自分にとって心地よい場所はあり、それは他人が決めるものではなく、自分が発見し決めていくものだ。

果たして、私は震災がなく暮らしていたら、他県に興味をもち、気候や特産品、つまり日本の一部分ではあるけれど、自分の住む国(のある部分)に興味を持ち知ることがあったろうか、と思った。
今回、日本地図を眺めること、神奈川以外の地域を調べることをして気づいたのは、私は何も知らないということ。
まだ見たことのないもの、知らないことが多すぎる。そんな状態で生きていたのだ。