私は結婚した。
父のお葬式をした小さな教会で挙式し、
サインした婚姻届を知人に頼んで提出してもらった。
小さな会場で親戚や友人を招いて披露宴をし
カフェレストランでパーティを開いた。

あれからちょうど20年が過ぎた。

披露宴やパーティに呼んだ友人のほとんどは疎遠になっているけれど、
無縁になったわけじゃない、と思う。
今は、新しい友人と新しい縁をつないでいる。
住み慣れた街からは引っ越してしまったけれど、
一応徒歩圏内なのでそんなに遠くなったわけじゃない、と思う。
今でも、買い物をしたり呑みにいったり遊びに行ったりする。

結婚の有無には関係なく、月日が流れたからだろう。

良いこともあったし、悪いこともあった。
楽しいこともあったし、辛いこともあった。
嬉しい出逢いもあったし、悲しい別れもあった。
良い妻でもないし、良い嫁でもない。
母にはなれなかったけど、家族になったのだと感じる。

変わってしまったところもあるし、変わらないところもある、お互いに。
それでも20年、一緒に過ごしてきた。
使い込んだグラスのように、日々の生活に馴染んでしまって、
もう、そこにいることが当たり前で、特別なことだとは思わない。

ただ20年前と同じようにこうしていること、それこそが特別なことなのかもしれない。

ありがとう、そしてこれからもよろしく。