たまたま、偶然てあるのだろうか。
その日、私は鎌倉にいた。
入ろうとしていたカフェが閉店と知り「さてどうしようか」となった。

その頃の私の状態を少しだけ書くと、足の親指の浮き(踏ん張りがきかない)が原因で足首⇒腰⇒首(肩)を痛め、会社を辞めていた。
退職する直前は、半日も仕事をすると、もうヘトヘトで、仕事にならなかった。

去年の秋に腰の痛みから始まった不調は、今年の春になって首と肩、背中まで痛みがひろがった。偏頭痛、めまい等の自律神経の乱れ、ウツ状態も経験した。
治療の効果が出るまでの期間、首(脳?)が原因の不安定な精神状態は、職場始め身近な人間関係に影響し、関係が終わりになった人もいる。

今年の初夏には、幸い、痛みの部分だけを(対処)治療する医院でなく、原因を突き止め、根本の足から治療してくれる先生に出会い、順調に回復してはいた。
原因がわかってからは、ひどく悲観的にはならなかったものの、健康に自信のあった私には打撃的な出来事ではあった。
健康に加えて、仕事も人間関係も失っていく経験、そしてお金も減っていく日々に不安がゼロだったかといえば、嘘になる。

そんなわけで、足に痛みがあるため、1時間続けて歩くことが出来なかった。
目的の店に入れないなら、すぐ次を決めなければならない。ウロウロ探している余裕はないのだ。

ふと思いついた店があった。以前、男性がチラシを配っていた「ドミンゴスさんのコーヒー」。
ビルの入り口に、店主の顔を描いた看板があったと記憶していたので、店を探した。

計画的に入ろうとか、いつか行こうと決めていたのでなく、あの状況において、たまたま入った。

店に入ると日本人のおじさんに「いらっしゃーい」と明るく挨拶され驚いた。
実は、“ドミンゴスさん”って、外国人だと思っていたから。

「オススメはなんですか?」と聞くと「水洗モカです。(非水洗は多いけれど水洗は)珍しいんですよ。」との答え。
新しいモノ好きの私に響いた、セールストーク(笑)

出てきた「水洗モカ」は、とても飲みやすい。　ビールの宣伝ではないけれど、のどごしスッキリ。ビックリした。

お店には、他にデートの途中で立ち寄ったカップルがいて、ドミンゴスさんは彼らに会社員時代の、ブラジル生活(コーヒー関係の仕事)の話をしていた。

私がハッとしたのは「ブラジル人はね、日本人だったら深刻だと思うような状況でも、明るく対処していたよ。」という内容だった。

当時の私は、それそのものが症状ナンだけど、今よりくよくよしがちだった。
命に別状はないのに、健康に関しては自信があった反動で、非常に不安になったし、仕事復帰に関して先行きが見えない、暗ーい気分にもなっていた。

そんな、自分だけが不幸になったような気分の時に、「本当に、私(だけ)がタイヘンなの?」とチョット疑問符が飛んできた。

更に、会計のときドミンゴスさんの笑顔に驚いた。「お口にあいましたか?」
いやあ〜、男性、特に40代以上ってほとんど感情を押し殺して、笑わないから驚いた。(私は、大小企業問わず、感情をマヒさせている人たちの中で働いていた)
接客だし、飲食なんだから当然なんて思わなかった。できていないところはいくらでもある。
ましてや、おじさん(失礼!)だ。

「おいしかったです」と答えた反応にまたやられた。
「嬉しいなあ」
すごい、こんなに素直に感情を表現する人っていたろうか。
男性が感情を表現する時は怒りのとき、と自分なりのデータ(経験)があったので、そりゃあ驚いた。

そんなわけで、病気でないのだけど、チョットくたびれていた私は、ドミンゴスさんの明るさとコーヒーの味に元気づけられた。
そして「また行こう」と思ったのだった。

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　お店でボーーッとコーヒーを飲みながら、お店の人や他のお客さんと接し「すごいなあ」とか「学んだなあ」と、感動する出来事がありました。
「ドミンゴスさんのコーヒー」という場を通して、昨日付のマンガにあるような「ハッ」とする気づきを得たりしています。
私にとって、休む所でもあるけれど、なにかを発見したり、気づく場でもあるのです。

自分だけの日記には書いていたんだけど、これを絵と一緒にまとめたらどうだろうか?
と考えたのが、マンガ化の始まりです。

ドミンゴスさんにお願いして、名前を出すことを承諾して頂きました。
奥様のはっちゃん快諾頂き、3話まできました。
登場人物は、なんらかの形で私が「おおっ!」と感動した人だったりします。

お店に行きはじめの頃、ドミンゴスさんのお嬢さんの絵を見せてもらう機会がありました。
「私も絵を描きたいなあ〜」と、20年ぶりに思いました。

そう思ってペンを持ったところで、しばらくなにも描けない日々は続きました。
しかし、自分をなんらかの形で“表現”をする人たちと出会うことが続き、ポツリポツリと描き始めました。
小さなイラストを描くつもりが、ナゼかマンガになりました。
ゲージュツ性はない絵ですが「好きなものを描いたらいいのよ」と、常々はっちゃんから励ましの言葉を頂いていたので、本当に、好きに描いています。
絵を描く作業はとても楽しいです。

店の名前を出していいよと最初に言って下さったドミンゴスさん、出演者の皆さまどうもありがとう。
また、お店で会いましょう〜。

※「ドミンゴスさんのコーヒー」
鎌倉市小町2-10-1　ユニコン鎌倉ビル2F(鎌倉駅から徒歩3分!)
0467-23-1762　
11:00～営業　水曜定休

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<1コマめ>
　ある日、ふと浮かんだ。
「私にはやりたいことがあった。」
それは、マンガ・エッセイ
テーマはいくつかあったが、
アイデアがすぐ浮かんだカフェ編から書き始めた。

<2コマめ>
私にしては珍しく、こつこつ作業
仕事をしながら、毎日の空き時間に書きためた。
「あっ、はっちゃんが描けた」わくわく

<3コマめ>
アイデア⇒出演者のキャラクター⇒ストーリー
がほぼかたまったので、
マンガの舞台になる鎌倉のカフェ
「ドミンゴスさんのコーヒー」のマスター、ドミンゴスさんに確認。
「書いてくれるの?　いいよお〜。嬉しいなあ。」快諾

ドミンゴスさんはよく「嬉しいなあ」と言う。
喜ばせようとして言っているわけでないのに
「嬉しい」と表現されると、こちらまで嬉しく楽しい
気持ちになる。

<4コマめ>
オーナーのOKが出たので
じゃあ書いて出しちゃお♪　と動く直前、フト思い出した。
あのひとのことを!!
(つづく・・・)

※このマンガは、鎌倉　小町通りのカフェ「ドミンゴスさんのコーヒー」が舞台になっています。
お店の住所:鎌倉市小町2-10-1　ユニコン鎌倉ビル2F(鎌倉駅から徒歩3分!)
0467-23-1762　
11:00～営業　水曜定休